学校紹介

校長あいさつ

小学校長 : 西脇 良

 本校の属する南山学園は、中部唯一の、小学校から大学院までのカトリック系総合学園で、キリスト教世界観に基づいて、人間の尊厳を尊重かつ推進する人材の育成を目指しています。この学園教育の「はじめの一歩」、それが南山大学附属小学校です。

 人生の「はじめの一歩」のうちに、子どもたちが身につけるべきことは何でしょうか。それは、世界観であり、人生態度です。南山大学附属小学校が掲げる世界観は、南山学園共通の教育モットーである「人間の尊厳のために」であり、子どものために表現を言い換えた「かけがえのないあなたと私のために」というものです。「あなたも、私も、かけがえのない一人の人間として神さまから等しく愛されている存在。だから、このいただいた命を、一緒に、力いっぱい生きていこう。」子どもたちには、このキリスト教世界観に基づく人生態度を、生活全体から、からだ全体で、学びとっていただきたいのです。

 本校の教育は、優しさと厳しさの双方を兼ね備えております。

 優しさは、「かけがえのない私」をまことに体験していただくために欠かせないものです。それは、子どものこころに耳を澄ませていく優しさ、といえるでしょう。わたしの気持ちにじっと耳を澄ませてくれた、ぼくが本当に言いたかったこと、やりたかったことを分かってくれた、わたしを切り離さず今日も笑顔で迎えてくれた、そのような体験の積み重ねこそ、「かけがえのない私」という実感を育んでいきます。学習面においても生活面においても、この優しさが必要です。

 「かけがえのない私」というたしかな実感に基づいて、次には、「かけがえのないあなた」、すなわち他者へと、心が大きく開かれていきます。自分のことだけを考えがちな子どもは、まだ「かけがえのないあなた」について心を開く準備が出来ていないでしょう。まだその時が来ていないのです。そういう時は、じっと待ちます。花が咲くのを楽しみにしている人が、まだ花が咲かないからといってつぼみをこじ開けてみたりはしないのと同じです。

 厳しさについては、いくぶん説明が必要かと思われます。通常、教育上の厳しさとは、大人が子どもに加えていく厳しさを指します。たしかに、教育には厳しさや強制力が必要な場合があります。とくに、危険な状況に子どもが巻き込まれてしまうことが予測される場合には、それを避けるために、より高い目標を掲げながら子どもがそこへ集中できない場合には、その目標へと促すために、外側からの厳しさが必要な場合があります。

 この、外側からの厳しさに加えて、本校の教育には別の厳しさがあります。それは、「かけがえのない私」という実感をえた子どもが、次に、「かけがえのないあなたのために」、いま為すべきことを、いかに辛くとも自らの力で選び取っていく、「選択の厳しさ」です。学習面においても生活面においても、この厳しさが必要です。

 友だちやクラスのためにすすんで良いことをする子は多いですが、そうすることが困難であり不可能であると感じた時にでさえ、人のために、敢えて正しいことを選び取ろうとする子は多くありません。周囲の圧力や自身の言い訳に負けてしまうのです。ここに、「選択の厳しさ」があります。

 「選択の厳しさ」は、外側から与えられる厳しさではなく、子どもが内に宿すべき厳しさです。威嚇によって「選ばされる」のではなく、複数の選択肢の中から自分で「選び取る」のでなければなりません。

 この「選択の厳しさ」は、南山学園のキリスト教世界観に基づいています。キリスト教の理解によれば、神は人に、人である証しとして、常に「選択の自由」を与え続けておられます。次のことばで端的に表現できるでしょう。

「自分で決めよ、自身で選択せよ、真にあなた自身であるために。」

 もし子どもが、そんなこと出来ない、そんなこと不可能だと感じた時にこそ、自分で決断し、「かけがえのないあなた」のために正しい行為を選択できたとすれば、まさにその子は、「そうする、と自分で決めた。これは、他でもない、わたしの選択であった」というたしかな実感をもつことができるでしょう。この実感こそ、自分が真に自分自身になりえた瞬間、「かけがえのない私」となり得た瞬間です。「かけがえのないあなた」のために尽くしてこそ、「かけがえのない私」がまことに見出されるのです。

 それゆえ本校は、子どもたちを、何かにコントロールされて、自ら選択できない人に育てるのではなく、「正しいことと正しくないことのうちから、どちらを選ぶことが真にあなたらしいのか」と問い続ける教育を、根気強く行っていきたいと考えています。

 南山大学附属小学校は、子どもたちが、「かけがえのないあなたと私のために」の人生態度を自ら選び取り、身につけていただけますように、これからもたゆまず努力してまいります。
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