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特別支援教育 連続講座 第5回(変更分)

 名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科 臨床遺伝専門医の石塚佳奈子先生をお招きして、「発達障害と遺伝の複雑な関係」とのテーマで、第5回の連続講座(年間9回)を開催しました。
 今回は、普段なかなか学ぶことのない遺伝に関する内容で初めて知ることも多く、楽しく学ばせていただきました。【「遺伝」:個人のゲノムが持つ遺伝情報「設計図」】と【「遺伝する」:親や親よりも前の世代から引き継ぐ遺伝情報】の違いを明確にした上で、それぞれの知見について詳しく教えていただきました。ここ数年急にゲノム医療が話題になったのは、アメリカで個人の中にある30億塩基対の解析というゲノム計画が13年かけて2003年に完了したことによるとのことでした。逆に言えば、人のゲノム情報の解析は、それほどの情報量なのだと思いました。その上で、多因子疾患のリスク診断予測にゲノム予想は使えるとのことでしたが、精度は、例えるなら、「名古屋は札幌より暑いらしい」は予測できるが、明日の名古屋の天気は予測できないとのことでした。実際の高身長のバスケット選手のゲノム情報からの身長予測だと、背がとても高いであろうと予測できるが、平均からの正確な離れ具合までは予測できないとのことでした。それは、栄養や運動、その他の環境の影響もきっと大きいと考えられるからとのことでした。
 もう一つ、両親からもらう遺伝情報「設計図」が重なりあうことで、かなり独自の設計図になることも教えていただきました。私達には、かなり遺伝によって引き継がれるイメージがありますが、かなりの多様性が確保されていることが分かりました。参加した保護者からも多くの質問が出され、ゲノム医療への関心の高さが伺われました。
 発達障害について、大まかな予測は可能な部分はあるが、「名古屋は札幌より暑いらしい」のレベルの予想であり、そのようなレッテルをはる意味があるのかとおっしゃられました。それよりも、コミュニケーションの苦手さは、教育現場の方がよく分かるので、そこで支援を考えていただく方がよいのではないかと言われました。臨床現場で、教育の中で苦しんでいる子ども達を診ておられる先生だからこそのお言葉で心に響きました。教育現場で苦しんでいる子ども達のために教育支援づくりに力を入れていける小学校になっていきたいと強く思いました。

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