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2020年度 特別支援教育連続講座 第1回

学校と家庭との教育連携の一環として、今年度も特別支援教育連続講座を計画しています。第1回目は、昨年度に引き続き、名古屋大学医学部附属病院 親と子どもの心療科の石塚佳奈子先生(臨床遺伝専門医)をお迎えし、2021125日(月)に実施いたしました。テーマは、「発達障害と『遺伝』の関係」というものでした。今年度は、コロナ禍の状況により、オンラインでの講座開催となりました。

お話の概要は以下のようなものでした。

「昨年度講演のポイントは、①遺伝は親から子に継承する特性と個人を規定する設計図の2つの意味を含むこと、②遺伝学的には親よりも子のほうが平凡になりがちであること、③精神疾患を決め打ちするような遺伝学的な状態はないこと、④精神疾患のほとんどはたくさんの遺伝要因、環境要因、および偶然の結果であること、でした。」

「今回は、たくさんの遺伝要因から精神疾患を解き明かす試みについて紹介いたします。現在の最新の研究は、従来のいろいろな要因に遺伝情報を加えるとリスク予測の精度が少し上がる、という段階です。最新のうつ病研究では、まだ遺伝情報単独よりも家族歴単独の方がリスクを上手に予測できること、男性と女性に分けて遺伝情報と家族歴を組み合わせると予測精度が高くなることが報告されています。ただし、これらの研究のほとんどは欧米人を対象にしており、異なる人種では結果が大幅に変わることもわかってきました。」

講演後、質疑応答があり、先生は以下のようにお答えくださいました。

「忘れ物が多い、片付けができない、話が聞けないといった特徴は、それぞれの子どもの特性であって、なかなか改善できないことも多いです。そのため、忘れ物が多い場合、実際に忘れ物をなくすようなかかわりよりも、それぞれの場所に教科書を置いておく等、その子の特性に合った支援を考えた方がよいのではないでしょうか。」

発達臨床の場で日々支援にかかわっていらっしゃる先生の実感のこもったアドヴァイスで、心に響きました。小学校でも、お預かりしたお子様一人ひとりの特性をふまえ支援できる在り方を模索していきたいと思います。

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