かけがえのないあなたと私のために

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ここに、忘れられない歌があります。本校が開校した2008年度に最高学年として入学してきてくれた3年生の子どもたちが、6年生になり、卒業を前にして力を合わせてつくってくれた、「あなたにありがとう」という歌です。次のような歌詞です。

「あなたにありがとう」

青空に舞う 桜の花びら
はるかな空に 光る太陽
僕らは 季節を重ねた

お祈りするきみを 照らした朝日
ふざけあって笑い転げた 帰り道
どれも そのすべてが
忘れられない 大切な時間だった

あなたがいたから 私は私でいられるんだ
はげましてくれた しかってくれた
立ち止まる僕の背中を 優しく押してくれた
たくさんの愛を ありがとう

ふり返った山を 染めた夕日
聖夜に光る 星のしずく
僕らは 季節を重ねた

バトンでつながった 僕らの心
あの日見上げた星空に 夢を語った
どれも そのすべてが
忘れられない 大切な時間だった

あなたがいたから 私は私でいられるんだ
僕は僕でいられるんだ いられたんだ
これからは 僕が愛を届けるんだ
たくさんの愛を ありがとう

たくさんの愛を ありがとう

 

本校で過ごした4年間の、仲間との絆をうたった詩です。本校の教育モットーである「かけがえのないあなたと私のために」の精神が、この詩の中によく表れているように思います。

南山学園の教育モットーは「人間の尊厳のために」です。本校ではこれを、子どもにも分かるように「かけがえのないあなたと私のために」と言いかえています。

ここでいう「尊厳」には、人間に本来的に備わっている、神の似姿としてつくられた人間の「神聖性」という意味が含まれています。人は誰もが、神に似た者として創造されているがゆえに、その存在自体に、厳かさや神聖性が宿っている、という考え方です。

他方で人間は、それぞれの時代・社会・文化の中で、互いに傷付け合い、互いの尊厳を脅かしてきたことも事実です。この状況を乗り越え、「人間の尊厳のために」働くことのできる人、社会に送り出していくことこそ、南山学園の使命です。

この学園の使命の一翼を担う本校においても、「私」の尊厳と同時に「あなた」の尊厳についても深く感じとり、考え、そして行動できるよう、お預かりしたお子様を育ててまいります。

冒頭の子どもたちの詩では、「あなたがいたから私は私でいられた」、「これからは僕が愛を届けるんだ」とうたってくれました。たくさんの愛を受けたから、これからは愛を届けるんだ、とうたってくれました。出会う人々を通して伝えられる神さまの深い愛を感じ取りながら、「かけがえのない私」として成長してほしい。そしてその「私」を根っこにして、これから出会うどのような人々も「かけがえのないあなた」として接してほしい。これが、南山大学附属小学校の願いです。

さあご一緒に、南山大学附属小学校で、思いやりにあふれた、自分と同様に相手も大切にできるお子様を育ててまいりましょう。

校長 山田 利彦